2020年10月26日カテゴリー:

  既存住宅性能評価とは

 

 

 

住宅性能表示制度は、良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられた住宅品確法に基づく制度です。

平成12年4月1日に施行された住宅品確法(正しくは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」)は、質の良い住宅を安心して取得できるようにするためにつくられた法律です。

  1. 新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」すること
  2. 様々な住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること
  3. トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること

*既存住宅の住宅性能表示制度とは

*平成12年の住宅性能表示制度のスタート時には、新築住宅だけを対象としていましたが、平成14年8月に既存住宅を対象とした性能表示制度についての基準類が公布・施行されました。もちろん、既存の制度だけの利用も可能ですが、新築の制度を利用した住宅の方が、既存の制度利用時に評価できる性能が多くなります。

これにより、「住宅性能表示制度」は、新築・既存を問わない、すべての住宅を対象とした制度となり、新築の制度を利用した住宅が、数年後に既存の制度も利用できる環境が整いました。

 

住まいの性能が等級や数値で表示されているので分かりやすくて安心

「地震などに対する強さ」「火災に対する安全性」「省エネルギー対策」など10分野の性能項目について、等級や数値で表示します。外見からでは判断できない建物の性能の違いが、専門知識がなくても分かりやすく理解していただけます。

 

 

ただし、住宅の性能は、様々な要因によって設計段階での予測の難しいものもありますので、住宅全体の性能を直接の対象とするのではなく、住宅のうち特定の部分の性能や、具体的な対策の程度に置き換えて、基準を設定している場合があります。また、室内空気中の化学物質の濃度については、設計段階での評価が困難ですので、完成段階のみの表示対象としています。表示される等級や数値などは、このようにして設定した評価方法基準に従って評価された結果であり、この範囲に加えて何か特別な約束、例えば居住者の実感や実測結果の程度についての保証を行うものではないことをご理解下さい。

また、住宅の性能は、完成した時点から、時間とともに変化します。このような変化が進む速さや程度を正確に予測することは困難です。評価方法基準により評価された内容の多くは、あくまでも、評価を行った時点(完成段階)のものであり、このような経年変化の影響を考慮したものとはなっていませんのでご注意下さい。

 

第三者機関の評価員が性能をチェックするので安心
評価は、国土交通大臣に登録を行った、登録住宅性能評価機関(以下「評価機関」といいます。)に所属する評価員が行います。しかも、設計段階のチェック(設計住宅性能評価)と建設工事・完成段階(建設住宅性能評価)のチェック(一般的に4回の検査)があり、求められている性能どおりに設計がなされ、また評価を受けた設計どおりに工事が進められているかどうかをチェックします。

 

 

万一のトラブルにも専門機関が対応してくれるので安心
建設工事・完成段階のチェック(建設住宅性能評価)を受けると、万一、その住宅の請負契約又は売買契約に関連するトラブルが起きても「指定住宅紛争処理機関」が迅速・公正に対応してくれるので、安心です。(1件につき1万円でご利用になれます。)

指定住宅紛争処理機関は、国土交通大臣が指定した機関で、裁判によらず住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関です(全国各地の弁護士会が指定されています)。

 

 

住宅ローンの優遇や保険料の割引もあります
建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅は、民間金融機関や公共団体の住宅ローンの優遇を受けられる場合があります。

また、地震に対する強さの程度に応じた地震保険料の割引などもあります。

住宅性能表示制度を利用した新築住宅で、一定の要件を満たすものについては、住宅金融支援機構提携フラット35に係る手続きの簡素化等を受けられます。

 

10分野の概要は以下の通りです

1. 地震などに対する強さ(構造の安定)

地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさを評価します。等級が高いほど地震などに対して強いことを意味します。

等級1でも、建築基準法を満たす住宅なので、大地震が起きても倒れてしまうことはまずありませんが、性能表示制度を使うと、評価機関が建築工事を検査するので、ミスや手抜き工事の防止に役立ちます。

このほかにも、強風や大雪に対する強さに関する評価もあります。

2. 火災に対する安全性(火災時の安全)

住宅の中で火事が起きたときに、安全に避難できるための、燃え広がりにくさや避難のしやすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなどを評価します。

3. 柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)

年月が経っても土台や柱があまり傷まないようにするための対策がどの程度されているかを評価します。等級が高いほど柱や土台などの耐久性が高いことを意味します。

木造の場合は主に土台や柱が腐らないようにするための対策、鉄筋コンクリート造の場合は主に柱や梁のコンクリートがもろくならないための対策、鉄骨造の場合は主に鉄の部分が錆びにくくする対策を評価します。

4. 配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策(維持管理・更新への配慮)

水道管やガス管、排水管といった配管類は一般に構造躯体の修繕などを実施するよりも早く取り替える必要があります。

そこで配管の点検や清掃のしやすさ、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価します。等級が高いほど配管の清掃や補修がしやすいことを意味します。

また、共同住宅等については、排水管が寿命となった際、新しい排水管に更新する工事のしやすさや、間取り変更のしやすさの情報として、躯体の天井高等の評価、表示もします。

5. 省エネルギー対策(温熱環境・エネルギー消費量)

暖房や冷房を効率的に行うために、外皮(壁や窓など)の断熱などがどの程度されているかまた、設備(暖冷房、換気、給湯、照明)や創エネルギー(太陽光発電など)を総合的に評価します。等級が高いほど省エネルギー性に優れていることを意味します。

6. シックハウス対策・換気(空気環境)

接着剤等を使用している建材から発散するホルムアルデヒドがシックハウスの原因のひとつとされているため、接着剤を使用している建材などの使用状況を評価します。

建築工事が完了した時点で、空気中のホルムアルデヒド等の化学物質の濃度などを測定することも可能です(ただし、測定はオプションです)。

また、住宅の中で健康に暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設備が整えられているかについても評価します。

7. 窓の面積(光・視環境)

東西南北及び上方の5方向について、窓がどのくらいの大きさで設けられているのかを評価します。

8. 遮音対策(音環境)

主に共同住宅の場合の評価項目で、上の住戸からの音や下の住戸への音、隣の住戸への音などについて、その伝わりにくさを評価します(この評価項目はオプションです)。

9. 高齢者や障害者への配慮(高齢者等への配慮)

高齢者や障害者などが暮らしやすいよう、出入り口の段差をなくしたり、階段の勾配を緩くしたりというような配慮がどの程度されているかを評価します。

10. 防犯対策

外部開口部(ドアや窓など)について、防犯上有効な建物部品や雨戸等が設置されているかの侵入防止対策を評価します。

 

 

国交省 既存住宅の性能表示制度 https://www.mlit.go.jp/common/000129266.pdf